厚生科学審議会の予防接種基本方針部会(部会長:脇田隆字 国立感染症研究所長)は7日、ロタウイルス感染症を予防接種法に基づく定期接種の対象疾病とするには、ワクチン接種にかかる費用の低減が必要との認識で一致した。厚生労働省はワクチンを製造販売するグラクソ・スミスクライン(GSK)とMSDに対し、値下げなどの対応について検討を求めている。2社の回答を得られ次第、同部会で定期接種化の是非を改めて議論する。
基本方針部会の下に設置された小委員会が7月末に取りまとめた審議報告を了承したもの。ロタウイルスワクチンを巡っては、2011年にGSKの経口弱毒生ワクチン「ロタリックス」(2回接種・1本当たり1万円)、12年にMSDの5価経口弱毒生ワクチン「ロタテック」(3回接種、1本当たり5700円)の2種類が承認されており、小委員会で定期接種化の検討が続けられてきた。
海外ではロタウイルスワクチンの初回接種後に腸重積症の発症リスクの増加が報告されている。これに対し、小委員会は国内外の疫学データを基に、発症率の増加リスクを否定することはできないが、「リスクは大きいものではない」と評価。乳幼児の胃腸炎入院を予防する効果は、副反応として生じうる腸重積症のリスクを大きく上回るとして、定期接種化しても「問題ない」とした。
その反面、生産性損失を含めた費用比較分析の結果では、1人当たりの接種にかかる費用を全体で少なくとも4000円程度低下させなければ、節減できる社会的コストを上回ってしまうと指摘。現状で費用対効果は良好とは言えず、定期接種化には「課題がある」とした。