国立がん研究センターは8日、2012年の院内がん登録データを用いて集計した3年生存率を公表した。がん以外の死因の影響を除いた相対生存率は72.1%で、11年のデータによる前回(71.3%)から0.8ポイント上昇した。患者の要望を受け、今回初めて公表した4部位の相対生存率(全病期)は、喉頭84.4%、胆囊33.4%、腎85.6%、腎盂・尿管55.6%。難治性の胆囊を含め、Ⅱ期までに診断された症例では生存率が比較的高い傾向が認められた。
3年相対生存率の公表は今回が2回目。今回の集計対象は、全国のがん診療連携拠点病院等のうち、12年診断例の生存率把握状況が90%以上だった286施設33万9376例。患者からの公表の要望に応え、喉頭、胆囊、腎、腎盂・尿管の4部位を加えた計15部位について、病期別に生存率を算出した。
喉頭の相対生存率は、I期が96.0%、II期が90.2%、Ⅲ期が84.9%となっており、放射線治療が有効な比較的早期の例では生存率が高い傾向がみられた。また、腎ではⅡ期まで、腎盂・尿管もⅠ期は90%を超えていた。膵臓と並んで難治性と言われている胆囊でも、根治切除可能なI期では91.1%、II期では77.4%と、早期に発見された例では比較的良好な傾向を示している。
5大がんの相対生存率(全病期)は、胃75.6%、大腸78.7%、肝臓54.6%、肺・気管50.8%、女性乳房95.2%となっている。なお、部位別で相対生存率が最も高かったのは前立腺(99.2%)だった。