株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

3Dプリンターを用いた顔面3Dモデルの有効活用

No.4974 (2019年08月24日発行) P.54

峯田一秀 (徳島大学形成外科・美容外科)

橋本一郎 (徳島大学形成外科・美容外科教授)

登録日: 2019-08-25

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【手術シミュレーション分野での発展に期待が高まる】

近年,3Dプリンターの急速な普及により,CTデータから3Dモデルを簡単に作製できるようになった。形成外科領域では,先天異常や外傷による頭蓋顎顔面領域の形態異常を扱うため,三次元的な把握が非常に重要である。モニター上の3D画像はシミュレーションに関して限界があるために,等倍の顔面骨3Dモデルや外表面3Dモデルが術前・術中のシミュレーションや術後の評価に活用されるようになっている1)。3Dモデルは手に取ることができるため,手術方法などのインフォームドコンセントにも非常に有効である。

具体例として,眼窩骨折では眼窩3Dモデルを用いて骨欠損部に対して移植する自家組織もしくは人工材料の大きさ・形を体外で術前に決定できるようになった。このため,より安全な手術が可能になり,手術時間の短縮にもつながるようになった。顔面骨の陳旧性骨折や口唇口蓋裂に伴う形態異常(外鼻変形や顎変形症)では,骨格と軟部組織両方の3Dモデルを作製し,術前に骨切りのシミュレーションや外表形態の評価を行って,術中には顔貌の左右差や位置の確認などに用いる。さらに,術前と術後の三次元的な形態を比較するのに有用である。

今後は,新しいプリント素材の開発と3Dカメラの普及により,口唇口蓋裂や耳介先天異常などの希少疾患に対する模擬手術や若手医師育成に役立つツールが開発される可能性があり,手術シミュレーション分野のさらなる発展が期待される。

【文献】

1) 西本 聡, 他:形成外科. 2015;58(4):375-83.

【解説】

峯田一秀,橋本一郎  徳島大学形成外科・美容外科 *教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top