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猛威を振るう麻疹

No.4978 (2019年09月21日発行) P.50

酒井 純 ( 埼玉医科大学感染症科・感染制御科)

前﨑繁文 ( 埼玉医科大学感染症科・感染制御科教授)

登録日: 2019-09-18

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【予防接種を確実に実施することで感染を防ぎ,流行時の被害を最小限に食い止めることが求められる】

麻疹は,麻疹ウイルスによる感染症であり,空気感染など様々な感染様式を示し,きわめて感染性が高い。感染後1~2週間の潜伏期を経て,カタル期,発疹期を経て,回復期となる。発疹は前額部や頸部から体幹部,四肢末梢へと広がり,色素沈着を残し消退していく。

合併症としては,肺炎と脳炎が重要であり,死亡率が高いため注意が必要である。特に亜急性硬化性全脳炎は,罹患後数年を経て発症し,認知機能障害等の進行性の中枢神経症状が出現する,予後不良な疾患である。しかし,麻疹は根本的治療が存在しないことから,重症化した場合も対症療法や支持療法が中心となる。

これら重症例を減らすためには,予防接種が重要である。わが国では,幼少期に風疹とともにMRワクチンとして接種が義務づけられており,接種1回で90%弱,2回で95%以上の人が免疫を獲得できることから,2回接種が推奨される。

2018年,海外から国内に麻疹が持ち込まれ流行したが,その発症者の多くがワクチン1回接種世代の20~40歳代の若者であった。今後は予防接種を確実に実施し,流行時の被害を最小限に食い止めることが求められている。

【参考】

▶ CDC:Vaccines and Preventable Diseases.
[https://www.cdc.gov/vaccines/vpd/mmr/hcp/about.html]

【解説】

酒井 純,前﨑繁文  埼玉医科大学感染症科・感染制御科 *教授

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