「2030年までに死亡者数が年間約40万人増加すると見込まれるが、看取り先の確保が困難」─。2011年に、こんな将来推計が厚労省から公表された。人口動態統計(2013年確定数)によれば、現在の日本の死亡者数は年間約127万人で、死亡場所は病院が圧倒的に多く、その割合は75.6%に上る。
病院で亡くなるのが当たり前の日本で、なぜ、40万人の看取り先が不安視されているのか。それは、今後急増する死亡数をすべて病院で看取ることが困難であるためで、病院以外の看取りの場所を確保することが医療政策上、必要となっている。
図をみてほしい。1980年代以降、高齢者人口の増大に伴い日本の年間死亡数は増加を続け、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年には153万人、30年には現在より約3割多い161万人にまで増加するとみられている。「多死社会」の到来である。しかし、全国の病床数をこれ以上増やすことは財政上難しい。そこで厚労省は、在宅や介護施設でも看取りが広まるよう、診療・介護報酬上の手当を手厚くしたり、医師法20条の解釈を明文化するなどの体制整備を進めている。
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