シリーズ形成するスパズム(臨床発作)と,ヒプスアリスミア(脳波所見)を特徴とするてんかん症候群である。年齢依存性のてんかん性脳症(epileptic encephalopathy)であり,通常1歳未満の乳児に発症して,発達の停滞あるいは退行を伴う。
臨床発作と脳波所見の組み合わせで診断する。臨床的には,乳児期(特に3~8カ月)にてんかん性スパズム(epileptic spasms)ないし点頭発作で発症する。頭部を前屈,四肢を挙上するような痙攣(持続1秒くらい)の10秒前後の間隔での繰り返しが数分間続く。このような発作の群発をシリーズ形成という。脳波検査では,発作間欠期の脳波において,高振幅徐波と多焦点性鋭波が不規則,無秩序に混じた高度異常パターンがみられる。これをヒプスアリスミアと呼ぶ。発作時脳波では速波群発,高振幅徐波,低振幅化などがみられる。
点頭てんかんには様々な基礎疾患がありうる。明らかな基礎疾患の有無により,症候性(symptomatic)と潜因性(cryptogenic)とに分類する。
多くの患児の発作は薬物治療に抵抗して難治性である。知能・行動の発達も停滞ないし退行し,知的障害や自閉症をきたしやすい。発作予後と発達予後は相関する。したがって,点頭てんかんの治療の原則は,発症後早期に最も有効率の高い抗てんかん薬を用いて発作抑制を図ることである。現時点で最も有効率の高い薬物は,多くの場合副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone:ACTH)療法である。ただし,基礎疾患として結節性硬化症を有する患児においては,ビガバトリンの有効性がより大である。
治療の選択にあたり,ACTH,ビガバトリンとも強い副作用を生じうることに配慮と注意が必要である。また,患児の身体所見や基礎疾患も考慮されるので,全例が下記の流れに乗るわけではない。
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