心室細動は,心臓突然死の大半を占める最重症の不整脈であり,心室が痙攣状態となるため,心拍出量が著しく低下し,たちまちポンプ失調に陥る。除細動を行わない限り死に至るため,速やかな除細動が必要である。心室細動の発生基盤となる原疾患に応じて,二次予防として植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator:ICD)を考慮するが,ハイリスク例への予防的ICD植込み(一次予防)も重要である。
除細動による速やかな救命処置を図り,心室細動発生原因の究明が重要である。
海外に比べ,わが国では非虚血性心疾患に伴うものが多いとされているが,わが国でも院外心停止の約60%が虚血性心疾患であるため,心室細動からの救命例では,一過性の冠攣縮も含む急性虚血の有無を必ずチェックする。急性心筋梗塞の場合は,発症48時間以内の心室細動は二次予防としてのICD適応とはならないが,発症後48時間以後に発生した心室細動はその後も再発する危険性があり,心機能や残存虚血の有無,電解質異常などの可逆的要因の有無に基づいてICD適応が決定される(図1)1)。冠攣縮性狭心症は,禁煙などの生活習慣の是正やCa拮抗薬,硝酸薬が有効であるが,これらの治療に抵抗性の場合や心室細動発生例では予後不良の可能性も報告されており,必要に応じてICDの適応を決定する。左室同期不全が疑われる心電図QRS幅が広い例(150msec以上または,120~149msの左脚ブロック例)では,心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy with defibrillator:CRT-D)も考慮される(図2)1)。また,除細動器の植込みと同時に原疾患への治療も重要である。
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