【減塩指導によりどの程度血圧が下がるかをみる治療的診断を行う】
食塩感受性とは塩分摂取量に応じて血圧が上昇するかどうかで判断するものであり,診断基準が定まっているものではありません。また,同じ個体でも時を変えて食塩負荷すると血圧の反応性は異なることから1),遺伝子で規定される以外にも環境要因により大きく変動すると考えられます。このような理由から食塩感受性の頻度は論文によって大きく異なり,日本人においても正常血圧者で15~20%,高血圧患者では30~50%程度ではないかと推測されています。
遺伝子多形性による食塩感受性の診断は多くの研究が行われています。その多くでは遺伝子多形のみならず,レニン値などと組み合わせることで診断がある程度できるとしています2)。実臨床では食塩感受性を知る臨床検査項目はなく,減塩指導により,どの程度血圧が下がるかをみることで,治療的診断を行っています。減塩指導の成否の判断は尿中Naを測定し,塩分摂取量を評価することで行うことができます3)。
【文献】
1) Gu D, et al:Hypertension. 2013;62(3):499-505.
2) Sanada H, et al:Clin Chem. 2006;52(3):352-60.
3) 日本高血圧学会減塩委員会, 編:減塩のすべて―理論から実践まで. 南江堂, 2019.
【回答者】
下澤達雄 国際医療福祉大学医学部臨床検査医学主任教授