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特発性血小板減少性紫斑病[私の治療]

No.4996 (2020年01月25日発行) P.47

桑名正隆 (日本医科大学アレルギー膠原病内科教授)

登録日: 2020-01-25

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  • 免疫学的機序により血小板減少をきたす後天性疾患で,小児から高齢者まで幅広い年齢層でみられる。出血傾向が唯一の症状で,点状~斑状出血が多いが,重症例では粘膜出血(鼻出血,消化管出血,血尿など),稀に致命的な脳出血も生じる。出血症状を認めない例も少なくない。

    ▶診断のポイント

    基本は除外診断で,血小板減少(10万/μL未満)を認めるが,赤血球系および白血球系は正常で,かつ血小板減少をきたすそのほかの疾患を除外できる場合に診断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療の目標は血小板数を正常に戻すことではなく,重篤な出血を予防しうる血小板数を維持することである(血小板数3万/μL以上,可能なら血小板数5万/μL以上)。診断後,まずHelicobacter pylori(ピロリ菌)感染の有無を評価し,陽性例では除菌により50~70%で血小板数の増加が得られる。ただし,致死的出血のリスクがある,あるいは外科的処置のため緊急に血小板数を増やす必要がある場合は,免疫グロブリン大量療法(intravenous immunoglobulin:IVIG),メチルプレドニゾロンパルス療法あるいは血小板輸血を行う。

    ピロリ菌陰性,もしくは除菌療法で血小板増加を得られなかった場合には,出血症状,血小板数に基づいて治療適応を決定する。血小板数2万/μL以上で出血症状がない,あるいは軽微な場合には無治療で注意深い経過観察を行う。ただし,高齢者(60歳以上),コントロール不良の高血圧症や外傷リスクの高いスポーツ選手など出血リスクが高い例では,血小板数が2万/μL以上でも治療の対象となりえる。ファーストライン治療は副腎皮質ステロイド療法だが,治療目標を達成できない,もしくは副作用のためステロイドの継続使用が困難な場合はセカンドライン治療に移行する。セカンドライン治療として,①脾摘,②リツキシマブ,③トロンボポエチン(thrombopoietin:TPO)受容体作用薬があり,個々治療法の長所と短所に基づいて症例ごとにいずれかを選択する。

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