【質問者】
照井康仁 がん研有明病院血液腫瘍科部長
【心房細動の悪化や出血が懸念されるので,リスクベネフィットを慎重に検討すべき】
IBRは,CLLの初回治療の標準薬となっています。患者の状況や予後不良因子の有無にかかわらず,高い有効性が示されています。一方,IBR投与により,6%前後の頻度で新たにAfを発症することが報告されています。投与開始後3カ月以内で多く,発症の中央値は2.5~2.8カ月であり,18~24カ月後では発症がきわめて少ないことも明らかになっています。さらにIBRにより出血傾向をきたすことがあり,5%前後の頻度でgrade3以上の臨床的に問題になる出血を認めています。
IBRの投与開始後に発症したAfは,対症療法により70%が消失し,IBR投与中止が必要な場合は稀であると報告されています。しかし,Afが持続する場合,血栓症予防のため長期の抗凝固療法が必要となり,出血のリスクが高まる可能性があります。IBRによる出血のメカニズムは主に血小板凝集の抑制とされていますが,ビタミンK依存性の凝固障害も報告されています。
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