【質問者】
石井 賢 国際医療福祉大学医学部整形外科学教授/国際医療福祉大学三田病院脊椎脊髄センター長
【ストラテジー(treat to target)についての議論が進んでいる】
ストラテジー(treat to target)についての議論が進んでいます。糖尿病や高血圧,脂質代謝異常などの慢性疾患では,長期的な生命予後やQOLを左右する重要な合併症を予防するための治療目標が設定され,その目標を達成するための適切な治療法あるいは管理法が提案されています。骨粗鬆症の場合は,脆弱性骨折の予防が治療目標となり,この目標をいかにして達成するかを考えることになります。
現在,骨粗鬆症治療薬として多種多様な薬剤が上市されており,それぞれの薬剤の骨密度増加効果や骨折抑制効果についてはガイドラインに詳しくまとめられています。しかし,実際にどのようにして薬剤を使いわけたらよいのか,いつまで使用したらよいのか,どのような順番で使用すべきかについては明確な指針がなく,現場はまさに混乱しています。treat to targetの考えは,実臨床におけるこれらの疑問に明確な回答を提案するコンセプトと言えます。すなわち,目標達成率が最も高い初期治療を選択し,目標達成度に応じて治療の継続,変更,休薬を決定するという単純明快な提案です。
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