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夜驚症[私の治療]

No.5004 (2020年03月21日発行) P.51

高橋 寛 (青梅市立総合病院小児科部長)

登録日: 2020-03-18

最終更新日: 2020-03-17

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  • 夜驚症はパラソムニア(睡眠時随伴症)の中で,ノンレム睡眠からの覚醒障害の症状のひとつである。ほかに睡眠時遊行症(いわゆる夢遊病)も同様の機序で発現すると考えられている(睡眠関連疾患国際分類第3版:ICSD-3より)。
    3~6歳で発症し,就学前~小学生で多く,発症後6カ月~1年程度で軽快する傾向があり,思春期には消退する。性差はなく,小児の1~3%にみられる。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    入眠1~2時間後に,突然泣いたり叫んだりすることで始まり,激高する,怖がる,暴れるなどパニック状態になる。頻脈,多呼吸,皮膚の紅潮,発汗,瞳孔散瞳,筋緊張亢進などの自律神経活動を伴う。話しかけても正常な応答が返ってこない。通常10分程度で終息するが,時に30~40分続くこともある。その後再び入眠する。児は覚醒しているようにみえるが実際は眠っており,夜驚は基本的に睡眠と覚醒の狭間の状態と考えられる。翌朝起きたあとに本人は症状を覚えていない。

    誘発しやすい因子として,睡眠不足,不規則な睡眠スケジュール,発熱,病気,薬,尿意を我慢しながら眠る,いつもと違う環境で眠る,騒がしい場所で眠る,ストレス,などがある。昼寝のときに生じることはほとんどない。

    【検査】

    本人が覚醒する様子がなく,入眠中の異常運動が継続している場合は,前頭葉てんかんを鑑別する必要があり,そのような場合は脳波検査を施行する。また,夜驚の様子を保護者に動画撮影してもらうことも,診断の助けとなる。

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