島津製作所は4月10日、PCR検査の全工程を約1時間に短縮する研究用試薬「2019新型コロナウイルス検出試薬キット」を4月20日に発売すると発表した。価格は税抜き22万5000円(100検体分)。月間10万検体分の生産を目指す。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を検出する現状のPCR検査では、鼻咽頭拭い液などの試料(検体)からRNAを抽出・精製する煩雑な作業が必要だが、同社は独自の技術(Ampdirect技術)でこの工程を省き、迅速・簡便に検査を完了できるキットを開発。このキットを用いることで、2時間以上かかっていたPCR検査の全工程を約1時間に短縮できるという。
試料は処理液と混合し加熱するだけのため、人手を大幅に削減でき、人為的なミスも防止できる。誤操作などで陽性にもかかわらず遺伝子増幅が起きなかった場合に誤って陰性と判断しないよう、増幅工程が正しく進んだことを確認するための参照成分をキットの反応液に添加し、偽陰性が生じる可能性も低減した。
同社は「当面は国内のみで販売するが、5月以降の海外輸出も視野に入れて準備を進めていく」としている。