新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のPCR検査の検体に新たに唾液が追加されたことから、厚生労働省は6月2日付で、唾液を用いたPCR検査のみを行う医療機関の要件などを全国に通知した。
通知によると、唾液を用いたPCR検査のみを実施する医療機関は、「帰国者・接触者外来および帰国者・接触者外来と同様の機能を有する医療機関として都道府県等が認めた医療機関」であって、①COVID-19を疑う患者とそれ以外の患者が接触しないよう、可能な限り動線が分けられている(少なくとも診察室は分けることが望ましい)、②必要な検査体制が確保されている、③適切な感染対策(標準予防策に加え飛沫予防策・接触予防策を実施、唾液検体を回収する際にサージカルマスク・手袋を着用)が講じられている─のすべての要件を満たすことが求められる。
唾液PCR検査の追加により行政検査(PCR検査・抗原検査)を実施する医療機関の増加が見込まれることから、通知は、行政検査に関する委託契約を都道府県と医療機関が個別に締結する方法以外に、医療機関から委任を受けた取りまとめ機関(都道府県医師会、郡市区医師会など)が都道府県と集合契約を締結する方法もあるとし、具体的な取り扱いを示している。
唾液PCR検査は、厚生労働科学研究(研究代表者:加藤康幸国際医療福祉大成田病院感染症科部長)で、発症から9日以内の症例で従来の鼻咽頭ぬぐい液を用いた検査結果との高い一致率(鼻咽頭ぬぐい液陽性の患者の唾液検体を用いて検査した結果85~93%前後で陽性)が認められたことを受け、6月2日から導入。PCR検査キットの一部変更承認・保険適用も同日実施された。
発症後10日目以降の唾液ではウイルス量が低下することが知られているため、唾液PCR検査は「発熱等の症状発症から9日以内の者」が主な対象者とされている。
唾液PCR検査は、患者の負担だけでなく検体採取機関の感染防御の負担も大幅に軽減されることから、医療関係者の間で期待する声は多く、日本医事新報の読者アンケートでも「飛沫感染のリスクを減らす」などとして早期導入を求める意見が寄せられていた。
【関連情報】
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の取扱いについて(一部改正)」(6月2日)
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