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いわゆるdouble hit lymphomaを疑うべき症例,それらに推奨される検査,治療法は?

No.5017 (2020年06月20日発行) P.48

新井文子 (聖マリアンナ医科大学血液・腫瘍内科教授/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 血液疾患治療開発学分野教授)

磯部泰司  (福岡大学医学部腫瘍・血液・感染症内科講師)

登録日: 2020-06-19

最終更新日: 2020-06-16

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  • “double-hit” lymphoma(DHL)は,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)のサブタイプとしてWHO分類に独立して記載されました。急速な進展形式をとり,従来の治療法では根治が困難と考えられ,独立した治療戦略の必要性が指摘されています。
    どのような症例に対しDHLを疑い,どのような検査,治療を計画すればよいか,福岡大学・磯部泰司先生に解説をお願いします。

    【質問者】

    新井文子 聖マリアンナ医科大学血液・腫瘍内科教授/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 血液疾患治療開発学分野教授


    【回答】

    【FISH法による8q24/MYCと18q21/BCL2転座検索が,MYC・BCL2共発現の胚中心B細胞由来のリンパ腫には必要】

    いわゆるDHLとは,8番染色体長腕(8q24)のMYCおよび18番染色体長腕(18q21)のBCL2という2種類の遺伝子再構成を同時に認める急速進行性の成熟B細胞リンパ腫のことを言います。DHLの多くは3番染色体長腕(3q27)に位置するBCL6の再構成も併せ持つことから,“triple-hit” lymphoma(THL)と呼ばれることもあります。

    この遺伝子再構成は染色体転座によって生じ,ほとんどの症例で細胞増殖に関わるMYCと細胞死抵抗性に働くBCL2の過剰発現を引き起こします。

    DHLの概念は,1999年,Burkittリンパ腫の組織学的特徴と似ているsmall non-cleaved non-Burkitt・Burkitt-likeと呼ばれていた成熟B細胞腫瘍の60%以上がDHL/THLに相当し,生命予後が悪いことをバンクーバーのグループが報告したことから注目されるようになりました1)。その後,DHL/THLは腫瘍細胞形態としてリンパ芽球様を呈するものから,DLBCLの細胞形態を示すものまで幅広く存在し,急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia:ALL)のように発症するものから,Burkittリンパ腫のように節外性リンパ腫となるもの,濾胞性リンパ腫から組織学的転換をきたしたものまで,多様な臨床病態をとることがわかってきました。

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