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慢性創傷の新たな外用薬

No.5018 (2020年06月27日発行) P.51

宇都宮 亮  (愛媛大学皮膚科)

登録日: 2020-06-25

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【ポリヘキサメチレンビグアナイド含有外用薬の可能性】

褥瘡をはじめとする慢性創傷の治療では創面環境調整(wound bed preparation:WBP)が重要と考えられるようになっている。その実践指針として,TIMEコンセプトに基づき,T:tissue non-viable or deficient(壊死組織・活性のない組織),I:infection or inflammation(感染/炎症),M:moisture imbalance(滲出液のアンバランス),E:edge of wound-non advancing or undermined epidermal margin(創辺縁の治癒遅延,ポケット)の評価,治療への活用が推奨されている1)

壊死組織の除去の方法は外科的,化学的(外用薬など)デブリードマンが主に用いられる。感染を伴う場合は同時に対応を考えることが望ましく,従来はカデキソマー・ヨウ素,スルファジアジン銀が主に使われる。そのため,滲出液が過剰な場合はカデキソマー・ヨウ素,滲出液が少ない時期にはスルファジアジン銀に選択が絞られていた。ポリヘキサメチレンビグアナイド含有外用薬(プロントザン®)は2018年11月に販売が開始された抗菌性創傷被覆・保護材である。洗浄用液と創傷保護ゲルのセットであり,いずれも抗菌薬であるポリヘキサニドと,界面活性剤のベタインを含有している。このことから,バイオフィルムの除去に優れるとされており,局所の感染に伴う炎症の改善と同時に,壊死組織の除去にも寄与が期待されている2)。創の洗浄から外用処置までを一連に行うことができる外用薬であり,慢性創傷の治療に新たな選択肢となることが期待される。

【文献】

1)藤原 浩, 他:日皮会誌. 2017;127(9):1933-88.

2)Romanelli M, et al:Skin Pharmacol Physiol. 2010;23(Suppl):41-4.

【解説】

宇都宮 亮 愛媛大学皮膚科

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