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角膜真菌症[私の治療]

No.5019 (2020年07月04日発行) P.45

妹尾 正 (獨協医科大学眼科教授)

登録日: 2020-07-06

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  • 角膜真菌症は,糸状型真菌または酵母型真菌による角膜感染症で,確定診断には角膜擦過物による塗抹検鏡・培養同定検査を要するが,頻度的にはカンジダ,フザリウム,アスペルギルスが主要な検出菌で地域特性がある。外傷・コンタクトレンズトラブル,日和見感染に注意を要する。一般的には辺縁不整で隆起した潰瘍で,突眼などの外傷性誘引(いわゆる農村型)があれば糸状型真菌を疑う。フザリウム,アスペルギルス(特にフザリウム)などの頻度が高い。比較的角膜中央部で類円形の(糸状型真菌と比較して)境界明瞭で,かつ免疫低下やステロイド長期投与等が基礎にあるような場合(都市型)は,酵母型真菌の感染を疑う。酵母型真菌の中ではカンジダの頻度が高い(表1)。

    ▶診断のポイント

    十分な問診,特に起因に関わる背景を十分に把握し,細隙灯顕微鏡所見(できれば写真撮影)を取った上で角膜を擦過し,塗抹検鏡・培養同定検査を出しておく。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    十分な問診から誘因となる背景を把握した後,細隙灯顕微鏡所見を含め農村型か都市型かを判断し処方を考えていく(表1)。現状では,角膜真菌症に用いることができる薬剤はピマリシン(5%点眼,1%眼軟膏)しかない。それ以外の眼治療薬(点眼・軟膏)は自家調製を行わなければならず,倫理委員会等の許諾を必要とする。幸いピマリシンは多くの真菌に対し薬効があり,いずれにせよ真菌症が疑われ背景や所見が不明な場合,糸状型真菌のほうが進行が速く重篤になりやすいため,第一選択薬として用いるべき薬剤である。1時間おきの頻回点眼または1日6〜8回,軟膏1日3〜4回を目安に処方する。症状や所見の重篤度によっては,内服を含めた増薬を行う。また,近年は広い薬剤感受性,高い眼局所移行性,眼毒性の低さなどから,ブイフェンド®(ボリコナゾール)を1%に調製した点眼薬を第一選択薬として用いることが多くなっている。眼科的に用いることが多い抗真菌薬の薬剤感受性と利用可能方法を表2にまとめた。

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