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がん治療と就労の両立支援─「疾病性の言葉」から「事例性の言葉」への翻訳の重要性[プライマリ・ケアの理論と実践(69)]

No.5023 (2020年08月01日発行) P.12

遠藤源樹 (順天堂大学医学部公衆衛生学講座准教授)

登録日: 2020-07-30

最終更新日: 2020-07-29

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SUMMARY
主治医が職場に向けて診断書・意見書を発行する際には,『疾病性の言葉(例:下痢)』を『事例性の言葉(例:1日5~10回ほど,トイレのために離席の可能性あり)』に翻訳して,就業上の意見を述べることが望ましい。

KEYWORD
がん関連疲労
がん関連疲労はがん治療に伴う体力低下で,身近な人でさえ気づきにくい症状(invisible symptoms)であり,その十分なフォローアップが重要である。

遠藤源樹(順天堂大学医学部公衆衛生学講座准教授)

PROFILE
産業医科大学を卒業後,産業医・産婦人科医等として勤務の後,現職。厚労科研「がんと就労」班長,「不妊治療と就労」「心血管疾患と就労」の代表など,治療と就労の両立支援の第一人者。医師,産業衛生指導医等。令和元年度日本医師会医学研究奨励賞など受賞歴多数。

POLICY・座右の銘

「気持ち」こそが世界を変える

1 がん罹患社員の就労支援の重要性

先進国共通で,就労世代のがん患者の数は増加傾向にあり,労働者ががんになる確率が上がっている。その理由は,①シニアの就労人口の増加,②女性の就労人口の増加,③女性のがん,特に乳癌の罹患率の増加,子宮頸癌の発症年齢の若年化,④がん患者の生命予後の改善に伴い,職場復帰できる状態のがん患者が増加している,という4つの原因がある。

2 わが国で初めての「大規模がん罹患社員就労追跡調査」

筆者である遠藤ら(Journal of cancer survivorship 2015)は,わが国で初めて,がん罹患社員1278人の復職に関する大規模なコホート研究を実施した。がん罹患社員が病休となった場合,フルタイムで復職までに要した日数はがん全体で201日(約6カ月半)で,がん種ごとに大きく異なっていた。「がん種ごとの復職までかかる平均日数」は,胃癌は124日,大腸癌は136.5日,乳癌209日,子宮癌等が172日,前立腺癌等は124.5日であった。

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