【質問者】
石浦嘉久 関西医科大学総合医療センター 呼吸器腫瘍アレルギー内科教授
【治療の大原則は,ペットアレルゲンからの回避である】
2019年の調査によれば,ネコとイヌの飼育率はそれぞれ9.7%,12.6%で,ともに9割以上が主に室内で飼育されています。ウサギ,モルモット,フェレットなどもペットとして飼育されています。
ペット由来のアレルゲンは毛,上皮,皮屑,唾液,分泌物,排泄物に含まれます。感作後に曝露を受けた際に,主にIgE抗体を介した即時型過敏反応と,炎症細胞の浸潤による遅発型反応による症状が出現します。
主要なネコ,イヌアレルゲンは,それぞれFel d 1とFel d 4,Can f 1です。Fel d 1は環境中に容易に拡散し,ネコ飼育家庭だけでなく,様々な施設や交通機関内に存在し,ネコアレルゲン感作の原因になります。Can f 1も小粒子として存在し,空中に停滞しやすいことが知られています。ペットアレルゲンは,動物を扱う研究者,飼育員,トリマーおよび獣医における,職業性アレルゲンとしても重要です。なお,ペットアレルゲン曝露の時期や曝露量がその後のアレルゲン感作やアレルギー疾患に及ぼす影響に関して,結論は得られていません。
アレルギー症状には,眼瘙痒感,眼球結膜充血,眼瞼腫脹・発赤,皮膚瘙痒感・発赤,蕁麻疹,くしゃみ,鼻汁,鼻瘙痒感,鼻閉,咳嗽,喘鳴,呼吸困難などがあります。
診断は,ペットアレルゲン曝露による再現性のある症状誘発の病歴と,当該動物特異的IgE抗体(血清抗体,皮膚テスト)の証明によります。
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