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拡大するデング熱の感染。東京での一過性の流行で終わるの?【しらべてみました】

No.4717 (2014年09月20日発行) P.14

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-23

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  • 70年前の流行の状況は?


    日本医事新報では、デング熱が大流行した1942年(昭和17年)と43年(昭和18年)にデング熱の特集を企画。計24頁にわたり詳しく解説している。治療法については「対症療法をなす外、特別のことはない」などと記載している。


    約70年ぶりに国内感染者発生

    海外渡航歴のない女性がデング熱に感染したと厚労省が発表したのは8月27日。それ以来、感染者は増加し、全国の感染者は17都道府県で131人に上る(9月17日時点)。デング熱はヤブカに咬まれることで感染する感染症で、感染場所は東京都の代々木公園などが推定されている。

    日本では、1942〜45年に太平洋戦争の帰還兵が感染源となった20万人規模の流行が発生したが、その後は国内感染の報告はなく、近年は輸入症例が年間100〜200例ほど報告されていた。しかし、海外・訪日旅行者の増加や媒介蚊の日本での分布などから、専門家の間では、日本でも国内感染が起こりうると考えられていたようだ。

    厚労省が公表した診療ガイドラインと自治体向け資料(15頁に抜粋)によれば、デング熱の主な症状は、通常3〜7日の潜伏期間後に突然発症する高熱で、頭痛、眼痛、顔面紅潮、結膜充血を伴う。

    デング熱診療に詳しい国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は、デング熱の症状について「皮疹のイメージが強いが、発熱時には皮疹がないことも多く、咳などの気道症状はあまりない」と説明。また症状だけで診断することは難しいため、デング熱の発生状況に関する時・場所・人の確認が必要だとする。さらに、発症初期はデング熱の特徴である血小板減少がないこともあり、出血症状や重症化のサインを見逃さないために外来でのフォローアップが重要だと指摘。特に解熱前後(発症4〜7日)は重症化の危険があるとした。治療法については、輸液を十分に行うようアドバイスする。ただ、デング熱に罹患しても50〜90%は無症状で、発症しても大半は重症化せず治癒することから、「過剰におそれる必要はない」と話す。

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