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再侵入への備えは十分? 狂犬病の診断とワクチンの現状【しらべてみました】

No.4729 (2014年12月13日発行) P.10

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-16

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    2013年7月、台湾の野生のイタチアナグマの間で狂犬病集団感染が発覚し、衝撃が走った。台湾では、狂犬病は半世紀前に根絶したとされていたからだ。家に侵入した感染動物に咬まれる人が出るなど一時緊迫状態となったが、幸い感染者は出なかった。

    WHO(世界保健機関)によると、現在でも世界では年間5万5000人以上が狂犬病で死亡している。日本は世界でも稀な「清浄国」だ。1950年に制定された狂犬病予防法で飼い犬への予防ワクチン接種が義務化されたこともあり、人の国内感染例は1956年を最後に確認されてないが、輸入症例はその後も発生している(表1)。2006年11月には、フィリピンから帰国後発症した症例が2例報告された。

    海外渡航者の増加や、ペット用動物の大量輸入、相次ぐ飼育放棄といった現状を踏まえると、今後も輸入症例や再興の可能性は否定できないだろう。

    治療成功は“奇跡”、確実に死に至る病

    狂犬病は、狂犬病ウイルスを持つ哺乳類動物の唾液を介して人に感染する。潜伏期間は約1週間~2カ月程度。ウイルスが神経を通じて脳に達し、全身に拡散した時に発症する。発症後の有効な治療法はなく、曝露前免疫がなければ数日以内にほぼ確実に死亡する。米国でケタミン、アマンタジン、リバビリンなどを投与する持続昏睡療法で、5カ月後に覚醒した奇跡的な例はあるが、同様の治療を試みた2006年の横浜市の症例では奏効しなかった。

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