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ロボティックマイクロサージャリーの現状と今後の展望について

No.5030 (2020年09月19日発行) P.50

福本恵三 (埼玉手外科マイクロサージャリー研究所所長)

光嶋 勲 (広島大学国際リンパ浮腫治療センター センター長)

今井洋文 (広島大学国際リンパ浮腫治療センター)

吉田周平 (広島大学国際リンパ浮腫治療センター准教授)

登録日: 2020-09-16

最終更新日: 2020-09-15

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  • ロボティックサージャリーは急速に進歩し,各分野での臨床応用も広がっています。私は形成外科領域ではマイクロサージャリー分野への適応を特に期待しています。ロボティックマイクロサージャリーに用いるロボット・顕微鏡などの開発はどこまで進んでいるのか,そして今後の展望について,広島大学国際リンパ浮腫治療センター・光嶋 勲先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    福本恵三 埼玉手外科マイクロサージャリー研究所所長


    【回答】

     【マイクロロボットの完成により,初心者でもナノマイクロ手術に成功する可能性が出てきた】

    (1)技術開発の現状

    最近,欧州においてマイクロ支援ロボットによる血管吻合が発表され,内外のマイクロ関係学会では最もhotな話題となっています。しかし,現在なされている1~3mmの血管吻合はこれまでの顕微鏡で十分であり,ロボット支援の必要性は皆無とされています。これまでのマイクロ吻合針は12-0,50micron,3mm長が最小であり,0.8~0.3mmの血管吻合が可能でわが国においてスーパーマイクロ再建術,リンパ外科などが確立されました。最近は30~40micron針が完成し,0.1mm前後の血管吻合が可能となりました(ナノマイクロ針,日本)。

    筆者らはこれまで,ナノマイクロ手技やこれまでに確立しているスーパーマイクロ再建術,リンパ外科などを広島から世界に発信し続けています1)2)。しかし,スーパーマイクロを含めてこれらの手技は難易度が高く,実施は一部の外科医のみに限られています。

    その矢先,マイクロ支援ロボット(2019年,欧州で臨床使用認可),8Kズームビデオ顕微鏡(日本),ナノマイクロ手術器具(日本)をはじめとした超微小外科機器が完成しました。ロボットを使用した血管吻合の経験者は,マイクロロボットを用いれば,ナノマイクロを含めたこれらの超微小外科手技はマイクロ初心者であっても容易に可能であると発表しています。つまり,マイクロロボットの最大の利点は,今後,初心者でも容易に1~3mm径の微小血管吻合ができるようになり,スーパーマイクロ手術やナノマイクロ手術でも初心者が成功する可能性が出てきたことです。

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