【質問者】
髙松 泰 福岡大学医学部腫瘍・血液・感染症内科学教授
【一部の造血器腫瘍の病勢をコントロールできる】
わが国では,造血器腫瘍に対するICIとして,抗PD-1抗体薬が再発・難治性古典的ホジキンリンパ腫(classical Hodgkin lymphoma:CHL)に認可されています。CHLでは腫瘍細胞がPD-L1を高発現しており,抗PD-1抗体薬の全奏効率は約70%と,非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma:NHL)の約30%と比べてきわめて良好です。
PD-L1は,細胞傷害性Tリンパ球に発現するPD-1と結合してT細胞をアポトーシスに誘導します。PD-L1は,CHLのほか,原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(primary mediastinal large-B cell lymphoma:PMBCL),原発性中枢神経リンパ腫(primary central nervous system lymphoma:PCNSL),精巣原発リンパ腫(primary testicular lymphoma:PTL),びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLB CL)や多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)の一部で高く発現しています。米国食品医薬品局は難治性PMBCLに対する抗PD-1抗体薬を既に承認していますし,再発・難治性PCNSL/PTLに対してニボルマブの臨床試験が進行中です。
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