本学会では、VERTIS CV試験を含む、SGLT2阻害薬による2型糖尿病(DM)例の心血管系(CV)イベント抑制作用を検討したランダム化試験のメタ解析も、Darren K McGuire氏(テキサス大学、米国)により報告された。
同氏がメタ解析の対象としたのは、今回報告されたVERTIS CVに、EMPA-REG OUTCOME、CANVAS Program、DECLARE-TIMI 58、CREDENCEの4試験を加えた、5つのプラセボ対照ランダム化試験である。
まず、「CV死亡・心筋梗塞・脳卒中」(3-point MACE)は、SGLT2阻害薬によりプラセボに比べ、有意なリスク低下が確認された(ハザード比[HR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.85−0.95)。加えて、試験間に存在するバラツキの指標であるI2は23.4%で「不均一性は大きくない」とMcGuire氏は評価した。ただし、この結果が当てはまるのは、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有する2型DM例のみのようである。ASCVD合併の有無で分けると、「ASCVDなし」ではプラセボとの有意差は認められなかった。
次いで「CV死亡」のみで検討すると、SGLT2阻害薬群におけるHRは0.85(95%CI:0.78−0.93)と有意低値だったものの、I2は64.3%という高値だった。このバラツキの大きさはEMPA-REG OUTCOME試験に由来するとMcGuire氏は指摘。同試験はSGLT2阻害薬群における「CV死亡」の有意なリスク減少が報告された唯一の試験であると同時に、リスク減少幅も他試験に比べ、格段に大きかった。
一方、「心不全初回入院」については、SGLT2阻害薬群における対プラセボ群HRは0.68(0.61−0.76)で、I2も0%という結果だった。
これらの結果を踏まえMcGuire氏は、心不全進展を抑制したければSGLT2阻害薬を優先するが、ASCVD予防を重視するならGLP-1アナログ製剤を選ぶ。この両剤はおそらく、(CVイベント抑制に関し)補完関係にあると、のちの討論で述べていた。
なおこのメタ解析は、近日中に論文として公表の予定だという。