加齢黄斑変性の黄斑とは網膜の中心部にあり,視力をつかさどる。最も重要なこの部位が障害されるので,歪みや視力低下が生じる。わが国の高齢者の重篤な視力障害の原因疾患のひとつで,近年増加傾向にある。滲出型と萎縮型があり,わが国で多く認めるのは滲出型である。
眼底検査(カラー眼底写真)と光干渉断層計検査で,黄斑部に滲出や出血を伴う脈絡膜新生血管を認めたら,早急に治療を検討しなければならない。
治療指針が2012年に作成されているが,治療の対象となるのは,滲出型のうち脈絡膜新生血管を伴う症例で,脈絡膜新生血管が中心窩を含む場合と含まない場合では治療方法が異なる。脈絡膜新生血管による滲出性変化を認めれば,無治療では進行することが多く,不可逆性の視機能障害を生じるため,たとえ視力が良好でも早期治療を推奨している。また,前駆病変や現時点で治療方法がない萎縮型加齢黄斑変性は,経過観察となり,喫煙者には禁煙を指導するなどライフスタイルと食生活の改善やevidence-based medicine(EBM)に基づくサプリメントの摂取を推奨している。
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