色素細胞(メラノサイト)に対する,全身性の自己免疫疾患と考えられている。そのため,色素細胞が存在する組織や臓器に障害をもたらす。主な初発症状としては,両側性のぶどう膜炎や網膜の炎症性変化が生じるために両眼の網膜剥離が生じて,急速に見えにくくなることが多い。そして,同時あるいは遅れて,髄膜炎,難聴,白斑等の症状が併発する。gp100を認識してRANTESやIFNを産生するTh1細胞が,患者末梢血より検出されており,その発症への関わりが指摘されている1)。
再発を繰り返して遷延化し,徐々に視力が下がっていくことが特徴の疾患である。以下のように病期をわけることができる。
第1期:感冒様症状から発症することが多く,頭痛,咽頭痛,発熱,場合によっては神経学的症状が出現する。
第2期:1~2週間後に急激な眼症状(ぶどう膜炎,視力低下,網膜剥離など)が出現する。この時期には耳鳴,感音性難聴,平衡障害,リンパ球増多を伴う髄膜炎を発症することが多い。
第3期(寛解期):眼底所見として夕焼け眼底(ぶどう膜色素細胞が消失した結果,眼底全体が明るい紅色を示す)が特徴的である。
皮膚症状は第3期,つまり発症から約1~3カ月後に出現することが多い。ただし,症状,期間はあくまでも目安であり,個々の症例によって異なる。典型的には不完全白斑が眼囲に左右対称性,体幹四肢には散在性に出現し,やがて尋常性白斑と同様な完全脱色素斑となる。また,眉,頭髪,体毛等に白毛がみられるようになり,さらに脱毛がみられる場合は円形脱毛症の形態をとることが多い。
まずは,眼科と耳鼻咽喉科領域の検査が優先される。
①蛍光眼底造影検査,②光干渉断層計(OCT),③Bモード超音波検査(エコー):病初期にみられる脈絡膜の肥厚像を超音波検査で認めると診断価値が高い,④一般血液・尿検査,⑤聴覚検査:患者本人では気づかない聴力低下を認めることがある,⑥髄液検査:病初期の髄膜炎を診断するために必須。発症3カ月以内はリンパ球増多の異常所見を認めるが,それ以降は陽性率が低くなる,⑦皮膚生検:完成した白斑では,尋常性白斑同様に色素細胞,ならびにメラニンが消失している。
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