一般的には,「学習障害とは,知的発達に明らかな遅れはないのに,読み書き計算などの学習の習得が持続的に明らかに遅れている状態を指し,その原因は本人の努力不足でも教育環境の問題でもなく,脳の働きに問題があって起きるもの」と考えられている。
読字,書字,計算能力のいずれかに明らかな遅れがあり,それが学業不振の原因となっていることを明らかにし,知的能力に遅れがないことを確認する。さらに明らかな視聴覚障害がないこと,不十分な教育環境ではないことを確認する。
読字についてはひらがな音読検査1)を用いる。計算についても算数障害の症状評価のための課題と算数思考課題1)を用いる。書字については書字障害向けの検査法はない。
ここでは主に特異的読字障害(ディスレクシア)について記す。診断と治療法が明確になっているからである。ディスレクシアは基本的には音韻処理障害(聞いた語音のまとまりを認識して操作する能力の障害)であるという立場で,文献2)に基づいて以下の治療法を記す。
読字は2つのステップで習得する。初めは一文字ずつの読みを音に替える解読という作業であり,次のステップは見覚えのある単語や語句を文章の中から探し出して,その単語や語句の聞き覚えのある音のイメージを思い浮かべて声に出すという作業である。ディスレクシアは脳機能の研究により,解読の障害と見覚えのある単語をまとまりとして認識する障害が想定されている。そこで,2段階方式による指導法を考案して実施している。
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