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急性期の帯状疱疹×越婢加朮湯[漢方スッキリ方程式(45)]

No.5042 (2020年12月12日発行) P.14

井上 剛 (岩手医科大学皮膚科学講座助教)

登録日: 2020-12-10

最終更新日: 2020-12-09

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帯状疱疹は痛みを伴う皮膚疾患である。急性期には紅斑,水疱,膿疱を形成し,亜急性期から慢性期にはびらん,潰瘍,痂皮,瘢痕を呈する。急性期の炎症により神経が損傷すると,皮疹が治癒した後も遅延し「帯状疱疹後神経痛」(PHN)と呼ばれる。強い持続痛や電撃痛を伴い,抑うつや心因性疼痛も併発し生活の質が著しく低下することもある1)

帯状疱疹は急性期に速やかに炎症を抑えPHNに移行させないことが肝要であり,治療はできる限り早期の抗ウイルス薬と除痛薬の投与が一般的となる。しかし,抗ウイルス薬を投与しても帯状疱疹後神経痛が生じてしまうこともある。

早期に水疱が乾き,疼痛も緩和

急性期の帯状疱疹は痛みを伴う紅斑と水疱が皮疹の中心となり,漢方医学的分類上では「温熱」「水毒」に該当する。治療は利水剤と清熱剤で熱(紅斑)を冷ましながら余分な水(水疱)を排出することが望ましい。

越婢加朮湯は甘草,石膏,麻黄,蒼朮,大棗,生姜の6生薬より構成され,利水,鎮痛,消炎,抗ウイルス作用などを併せ持つ方剤である。構成生薬である石膏+麻黄で炎症部位の毛細血管からの浸出や毛細血管の拡張を抑制する作用があり,蒼朮は水毒を改善し石膏の利水作用ともあいまって水疱や腫脹の改善作用が期待できる。

著者の経験では,症例のように治療初期の段階で帯状疱疹に越婢加朮湯を用いると早期に水疱が乾き,疼痛も改善することが多い。他疾患ではあるが熱傷や虫刺症に伴う水疱の改善にも有効である。

我々の研究()では重症例を含む65例の帯状疱疹に対し抗ウイルス薬と越婢加朮湯を併用治療し,PHNの発症を1例のみに抑制しえたことを報告した2)。通常の抗ウイルス薬,疼痛治療薬に加え,越婢加朮湯を併用することは,急性期の疼痛を緩和するだけでなくPHN発症を低減する可能性があると考える。

 

越婢加朮湯の作用機序は消炎鎮痛作用,抗ウイルス作用,免疫賦活化作用が考えられ,帯状疱疹への有効な補助治療と考える。


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