【質問者】
中川雅裕 浜松医科大学医学部附属病院形成外科 特任教授
【過剰なフェノール処置を防ぐことと,1週間後の創部デブリが重要】
1986年,わが国で上竹が「週刊日本医事新報」にて本治療法(フェノール法)を報告1)して以来,形成外科,皮膚科,整形外科,開業医レベルで広く波及し現在に至っています。簡便な術式,低い再発率,術後疼痛が少ないことや,患者自身が他部位の陥入爪で同術式を希望すること,他の患者に本手術を勧めることは大きな特徴です。今回,上竹の報告から約35年後に同雑誌に再度掲載されるに至り,患者にとって良い治療法であったことを感じざるをえません。
陥入爪に対するフェノール法の適応は,保存的治療で再発を繰り返す場合や治療に長期間をかけられない場合などです。通常,治癒までに3週間程度を要しますが,時としてそれ以上かかることが課題です。今回,この課題を中心に治療法のコツを抜粋して記述します。
陥入している爪甲を,骨膜剝離子で爪床より剝離します。余分な剝離は,フェノールが染み込み創傷治癒を遅らせるため,最小限にとどめます。爪甲を抜去し,爪甲の遺残を必ず確認します。爪甲や後爪郭の掌側上皮を残すことは再発につながるため,小鋭匙を使用し確実に除去します。肉芽も尖刀と鋭匙で除去します。
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