【質問者】
豊嶋崇徳 北海道大学大学院医学研究院血液内科学教授
【セカンドライン治療は患者のライフスタイルに合わせて選ぶ】
ITPは,血小板数が10×104/μL以下に減少し,出血しやすくなる血液疾患です。国の難病に指定されており,約2万4000人の患者がいます。女性が男性よりも約3倍多く,女性は30歳代と高齢者,男性は高齢者に多いのが特徴です。血小板数が3×104/μL以下に減少すると出血しやすくなり,初期治療として副腎皮質ステロイドを使います。ステロイドは約8割の患者に有効ですが,多彩な副作用(気分障害,体重増加,糖尿病など)を避けるため,海外では短期間で中止することが,ガイドラインで推奨されています。あいにくステロイドを中止すると,半数以上の患者が再発して,血小板が減少します。セカンドライン治療として,血小板造血因子製剤,抗体医薬,脾臓摘出術(脾摘)が推奨されます。
造血因子製剤であるトロンボポエチン受容体作動薬には2種類(レボレード®錠,ロミプレート®注射薬)あります。約8割の患者に有効なのは魅力的ですが,薬を中止すると2週間で血小板数が急激に減少するため注意が必要です。リツキサン®はBリンパ球に対する抗体医薬です。免疫を抑える効果により,血小板を破壊する自己抗体を減らし,約6割の患者に血小板を増やす効果を期待できます。ステロイドのような副作用がないことが魅力ですが,約半数が2年以内に再発します。脾摘は約7割が根治する魅力的な治療法ですが,侵襲性が高く,術後に肺炎球菌に感染すると劇症化する危険性があり,手術を選ぶ機会は世界的に急激に減っています。
残り517文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する