若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis:JIA)は,滑膜炎による関節の炎症が長期間繰り返す結果,関節軟骨および骨破壊が進行し関節拘縮や障害を引き起こす,いまだ原因不明の慢性の炎症性疾患であり,小児期リウマチ性疾患の中で最も頻度が高い。「16歳未満で発症し,6週間以上持続する原因不明の関節炎で,他の病因によるものを除外したもの」と定義されている1)。表 1)2)のように7つに細分類され,各病型により病態が大きく異なることが知られている。
本疾患群を病態の異なる「全身型」(弛張熱,発疹,関節症状などの全身症状を主徴とし,症候のひとつとして慢性関節炎を生じる),「関節型」(関節炎が病態の中心となり,関節滑膜の炎症による関節の腫脹・破壊・変形を引き起こし機能不全に陥る),「症候性」(乾癬や潰瘍性大腸炎などに併発して二次的に慢性関節炎を呈する)の3つに大別すると理解しやすい。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で対応が可能な例は確かに存在するが,一部の症例に限られる。NSAIDs不応例には副腎皮質ステロイドであるプレドニゾロン(PSL)1~2mg/kg/日が適用されるが,メチルプレドニゾロンパルス療法を行い,後療法としてPSL 0.5~0.7mg/kg/日を用いると,入院期間の著しい短縮につながる場合が多い。
難治例(治療経過でPSLの減量が困難である,マクロファージ活性化症候群への病態転換が考えられる,治療経過が思わしくなく次の段階の治療を要すると判断される等)の場合,速やかに専門医に相談し,抗IL-6レセプター抗体のトシリズマブ(TCZ)の投与を検討すべきである。TCZによる全身型JIAに対する治療は,臨床治験を経て世界に先駆けて日本で認可され,有効性がきわめて高い。しかし,TCZでも無効な例も存在し,抗IL-1製剤であるカナキヌマブが2018年7月から使用できるようになり,わが国でも有効性が実証されてきた。
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