【質問者】
石川讓治 東京都健康長寿医療センター循環器科内科 専門部長
【今までのように塩分やカロリーを一律に制限した栄養管理は不要】
2016年10月に日本心不全学会より「高齢心不全患者の治療に関するステートメント」が発表され,高齢者心不全の特徴として,その大半が心疾患以外の併存症を有することが記載されました。2018年10月には日本心不全学会により「心不全患者における栄養評価・管理に関するステートメント」が作成されましたが,心不全には確立された栄養療法,介入方法がないのが現状で,低栄養状態に陥っている,もしくはそのリスクがある患者の栄養スクリーニング,適切な評価を行うことが,栄養管理の第一歩と言えます。
最近の研究で,筋蛋白質合成を最大限にするには,若年者に比べてより多くの蛋白質・アミノ酸の摂取が必要で,高齢者では低栄養状態による筋蛋白質合成反応の減弱が生じるため,骨格筋蛋白質合成を促進するために必須アミノ酸,特に分岐鎖アミノ酸であるロイシンの摂取が有効であることが報告されています。また,推算糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73m2未満,慢性腎臓病グレード3bの中等度以上の腎機能障害を有する場合には,0.6~0.8g/kg/日の蛋白質制限を考慮しますが,その場合にもサルコペニアやフレイルに注意し30kcal/kg以上の十分なエネルギー量を摂取することが推奨されています。
残り646文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する