アストラゼネカは2月5日、新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」の日本での製造販売承認を同日付で厚生労働省に申請したと発表した。同社は特例承認の適用を求めている。国内での新型コロナワクチンの承認申請はファイザーに続き2例目。
申請に当たりアストラゼネカは、2種類の投与方式を合わせた解析で平均70%の有効性が示されたとする海外治験の中間解析結果などのデータをPMDA(医薬品医療機器総合機構)に提出。被験者256人を対象に2020年8月から進めている日本での治験(第1/2相臨床試験)の主要データも3月中に追加的に提出するとしている。
加藤勝信官房長官は5日の記者会見で、3月中に提出される国内治験のデータを含め提出されたデータに基づいて有効性・安全性を確認し、承認の是非を判断すると説明。「アストラゼネカ社との間では1億2000万回分(6000万人分)のワクチン供給を受けることで契約済みであり、先月(=1月)、国内で9000万回以上の国内生産を目指す旨が同社から報告されている」とし、厚労省を通じて国内生産体制整備への支援も進めていることを強調した。
アストラゼネカのワクチン「AZD1222」は、英国本社がオックスフォード大と共同開発したウイルスベクターワクチン。体内で増殖しないように処理したチンパンジー由来のアデノウイルスに、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)表面のスパイクタンパク質の遺伝物質を組み込んだものを使用している。ファイザーのワクチンが超低温での輸送・保管が必要であるのに対し、少なくとも6カ月間は冷蔵状態(2~8℃)で保存可能とされている。
同社によると、このワクチンは、EU、ラテンアメリカ諸国、インド、モロッコ、英国を含む50近くの国で既に条件付き承認または緊急使用の許可がなされている。
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