SUMMARY
訪問看護は在宅医療の要である。病状に応じて,訪問看護の頻度やケア内容を調整しなくてはならない。医師には,訪問看護制度を理解し,ルールに従って訪問看護指示書を正確に記載することが求められる。
KEYWORD
特別訪問看護指示書
特別訪問看護指示書とは,急性増悪・終末期・退院直後などで,主治医が週4回以上の頻回な訪問看護を一時的に行う必要があると認めた場合に,患者の同意を得て発行する指示書。
PROFILE
東京都老人医療センター(現・健康長寿医療センター)で初期研修2年間を過ごす。高齢者専門急性期医療の経験から,非がんの緩和ケアの必要性を痛感。非がんの緩和ケアの学び,実践の場所を求めて家庭医療,在宅医療の道へ。家庭医療専門医,在宅医療専門医取得。
POLICY・座右の銘
どんなときにも必要なのは,感謝・笑顔・知恵
今回は,在宅医療の要となる訪問看護を取り上げる。1人の患者の,訪問看護導入からその後の経過を追ってみていくことにする。
CASE:80歳女性。糖尿病,高血圧,両側変形性膝関節症で外来に月1回通院中。一人暮らし。要介護1。
膝の痛みがあり,外来通院以外はほとんど外出せず家で寝たり起きたりの生活をしている。活動性低下に伴い体重が増加し,血糖コントロールも悪化。訪問介護による生活援助を週1回受けている。デイサービス利用には難色を示し,他人との交流もほとんどない。
週1回のデュラグルチド皮下注射開始と同時に訪問看護を導入し,自己血糖測定の指導,皮下注射の指導を依頼。訪問看護師より,食事状況や間食の内容,血糖値の推移の報告が来るようになり,生活状況が把握できるようになった。また,フットチェックの際に足白癬,爪白癬疑いとの報告を受け,外来で診断,治療を開始することができた。
ケアマネジャーと訪問看護師の勧めにより,訪問看護ステーションから週に1回理学療法士が訪問することとなり,シルバーカーを利用して近くの公園に行くことができた,と外来で嬉しそうに語った。
●外来通院中の患者でも訪問看護を利用できる。
●介護保険の訪問看護の枠で,訪問看護ステーションに在籍する理学療法士等によるリハビリテーションを受けることができる。
●屋外でリハビリテーションを行うためには,医師が訪問看護指示書に,屋外でのリハビリテーション可であること,目的,医学上の注意事項等を記載する必要がある。