非心原性と診断された脳梗塞の1割強に、心房細動(AF)が隠れている可能性がある。3月17日からオンライン開催された国際脳卒中学会(ISC)において、Lee H. Schwamm氏(マサチューセッツ総合病院、米国)がLate Breakerとして報告したランダム化試験(RCT)“STROKE-AF”の結果である。同氏は「非心原性」脳梗塞に対する抗血栓治療を再考する必要性を指摘した。
STROKE-AF試験の対象は、米国33施設にて「アテローム動脈硬化性脳梗塞」、または「ラクナ梗塞」と診断された50歳以上の496例。ただし60歳未満は脳梗塞に加え、脳卒中リスク因子を有する例に限定した。また上室性不整脈既往例は除外されている。
平均年齢は67歳、男性が62%を占めた。脳梗塞類型は57%がアテローム動脈硬化性、43%がラクナ梗塞で、NIHSS中央値は2.0と比較的軽症だった。またCHA2DS2-VAScスコア中央値は5.0と、AFがひそんでいた場合、抗凝固療法の対象となる例が多く含まれていた。
これらを心臓モニタ植込み(ICM)群と通常観察群にランダム化し、最低12カ月間、AF検出率を比較した。AFの定義は、2分30秒以上持続したP波消失の脈不整である。
その結果、ICM群では12カ月間に12.1%でAFが検出された。対通常観察群(1.8%)のハザード比(HR)は7.41(95%信頼区間[CI]:2.60-21.28)である。また、ICM群で検出されたAF中、観察開始後30日以内に検出されたのは22%のみだった。
興味深いのは、これらの数字は、潜因性脳梗塞例を対象にICMと通常観察を比較したRCT“CRYSTAL-AF”とほぼ同一だという点である。AF検出カプラン・マイヤー曲線も、ICM群、通常観察群を問わず、両試験間でほぼ同一だった。
なお、STROKE-AF試験の結果を、初発類型「アテローム動脈硬化性脳梗塞」、「ラクナ梗塞」別に分けて検討しても、AF検出率(12% vs. 13%)、AF検出カプラン・マイヤー曲線とも同様だった。
次にICM群のみで検討すると、まず、検出されたAFの96%は無症状だった。さらに、56%のAFは1時間を超えて持続し、44%では4時間を超える持続時間が観察された。
またAF検出例の67%で抗凝固療法が開始され、12カ月間の脳梗塞再発率は6.7%だった。9.8%だった通常観察群に比べHRは0.67となったが、95%CIは0.35-1.28で有意差とはならなかった。
以上の結果よりSchwamm氏は、非心原性であっても脳梗塞再発抑制には、ICMを用いた1年間のAF探知が有用ではないかと述べた。本試験は最長36カ月まで観察予定であるため、AF検出例における抗凝固薬開始の有用性を今後も観察する予定だという。
本試験はMedtronic社から資金提供を受けて実施された。