治療の原則は「呼吸状態を維持しつつ,早期に止血を図ること」である。以前は出血側から健側への流れ込みを防ぐために患側を下にした側臥位にするとか,出血のドレナージを図るために患側を上にした頭低位側臥位などと書かれた教科書もあったが,初診時に出血側を明らかにするのは困難で,すぐに気道確保を含めた蘇生に移行できる「仰臥位」で対応するのが原則である。
なお,喀血とは気管,気管支などの下気道や肺からの出血が,場合によっては痰とともに口から喀出される状態を言い,しばしば「吐血」と鑑別を要することがある。その多くが気管支動脈からの出血と言われている。病因別の喀血をきたす原因疾患を表に示す。
肺疾患を含めた既往歴の聴取に加え,咳嗽,発熱,体重減少,喫煙歴の有無や現内服薬を聴取する。咳や胸部痛などの随伴症状も重要な情報である。
出血に伴うショックの出現とSpO2値の低下にまず注意する。時間的余裕があれば,貧血の有無や呼吸音の左右差の有無も確認する。
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