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慢性リンパ性白血病の初回治療における免疫化学療法とBTK阻害薬の使いわけのポイント

No.5065 (2021年05月22日発行) P.47

永井宏和 (名古屋医療センター臨床研究センター センター長)

小島研介 (高知大学医学部血液内科学講座教授)

登録日: 2021-05-20

最終更新日: 2021-05-18

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  • 従来,慢性リンパ性白血病の治療では免疫化学療法が行われてきました。ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬の高い有効性が報告され,内外のガイドラインでは初回治療から導入が推奨されています。BTK阻害薬は継続投与が必要と思われ,治療期間が長期となりますが,若年者も含めて全例で導入すべきでしょうか。
    高知大学・小島研介先生に回答をお願いします。

    【質問者】

    永井宏和 名古屋医療センター臨床研究センター センター長


    【回答】

     【患者年齢によらず初回治療ではBTK阻害薬が推奨される】

    慢性リンパ性白血病は70歳前後の高齢者に好発し,一般に緩徐に進行します。非活動性かつ無症候性であれば治療介入せずに経過観察します。3割程度の患者では生涯治療を必要としませんが,急激に進行するリンパ系腫瘍に形質転換することもあるため注意が必要です。貧血や血小板減少が進行するなどの活動性・症候性病態基準を満たすと,余命見込みが数年と厳しくなるため治療を考慮します1)

    長らく免疫化学療法の生存期間延長効果は乏しいものでした。FCR(フルダラビン,シクロホスファミド,リツキシマブ)療法はその状況を打破した治療法で,若年(<65歳)の臓器能力(特に腎機能)維持例に対象が限られる上,毒性のため1/4の例で治療を完遂できないという欠点はあるものの,長期生存が期待できる唯一の治療法です。BR(ベンダムスチン,リツキシマブ)療法はFCR療法より成績は劣りますが,高齢者でも選択可能です。いずれも①17p欠失(もしくはTP53変異)なし,②11q欠失なし,かつ③IGHV変異ありにおいて最大効果を発揮します。特に①に異常があると免疫化学療法の有効性は大きく低下し,FCR療法でさえ3年無増悪生存率(progression-free survival:PFS)が20%を切ります2)。IGHV変異ステータスは保険範囲では検査できません。

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