ペットから感染する感染症は日本にいくつ存在するか?その回答は,日本に存在するペット感染症は約30あり,その指標とも言えるのがパスツレラ症(pasteurellosis)である。
人獣共通感染症(zoonosis)であるペット感染症の診断のポイントは,「zoonosisは疑わない限り診断できない!」である。そのためには,①すべての診療科で“患者の動物との接触状況を確認する”,②検査依頼書に“動物との接触状況を記載する”ことである。
パスツレラ症とは,各種哺乳動物,鳥類の口腔内,上部気道,消化管に常在するグラム陰性桿菌のパスツレラ属(Pasteurella)菌による代表的なペット感染症である。パスツレラ属菌には十数種が含まれており,パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)を含む5菌種がイヌ,ネコなどの動物に関連する感染症の起炎菌になると考えられている。ヒトのパスツレラ症の原因の多くはパスツレラ・ムルトシダが占め,保有率は身近なペットであるイヌが約75%,ネコが約100%と高率である。
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