GLP-1アナログによるCVイベント抑制の、新たなエビデンスとなるだろうか。6月28日、バーチャル開催中の米国糖尿病学会(ADA)学術集会で報告されたRCT“AMPLITUDE-O”である。新規の週1回型GLP-1アナログが、心腎疾患を合併する2型糖尿病例の「CVイベント・原因不明死」リスクをプラセボに比べ、相対的に27%、有意に減少させた。Hertzel C. Gerstein氏(マックマスター大学、カナダ)らが報告した。
なお本試験はスポンサーの決定により、2021年4月終了予定が20年12月に繰り上げられた(安全性が原因ではない)。その結果、上記1次評価項目発生数は「314」にとどまり、「ハザード比0.72未満を約80%の検出力で探知」するのに必要とされた「330以上」を満たすことなく終了となった。
AMPLITUDE-O試験の対象は、「CV疾患既往を有する18歳以上」か「CV高リスク腎機能低下の中高年以降」、かつ「HbA1c>7%」の4076例である。
平均年齢は64.5歳、女性が33%を占めた。糖尿病罹患期間は平均15.4年と長く、BMI平均値は32.7kg/m2だった。試験開始時のHbA1c平均値は8.9%、推算糸球体濾過率平均値は72mL/分/1.73m2である。
試験開始時のメトホルミン服用率は73%。SGLT2阻害薬も15%が服用していた。またインスリン使用率は63%に上った。
これら4076例は、GLP-1アナログ“エフペグレナチド”4mg/週群、6mg/週群とプラセボ群の3群にランダム化され、二重盲検法で観察された。観察期間中央値は1.81年である(四分位範囲:1.69-1.98)。
その結果、1次評価項目である「心筋梗塞・脳卒中・CV死亡・原因不明死」の発生率はGLP-1アナログ群(2用量併合[事前設定])で年間3.9%、プラセボ群は5.3%となり、リスクはGLP-1アナログ群で有意に低かった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.58-0.92)。両群のカプランマイヤー曲線は、試験開始直後から乖離を始め、両群の差は試験終了まで広がり続けた。
なお、試験デザイン論文に記された1次評価項目は、上記「原因不明死」を含まない「CV死亡・心筋梗塞・脳卒中」である(ClinicalTrials.gov最新版[2021年1月7日修正]も同様)。今回の報告では、この複合イベントの数字には言及がなかった。
さて、興味深いのはサブグループ解析(事前設定)である。試験開始時メトホルミン服用例(2985例)と非服用例間で、GLP-1アナログによる「CVイベント・原因不明死」抑制作用に差は認められなかった(交互作用P=0.74)。同様に、試験開始時SGLT2阻害薬服用の有無別で比べても、交互作用P値は0.38だった(いずれも併用の有無で事前に層別化)。SGLT2阻害薬とGLP-1アナログ併用によるCVイベント抑制相加作用は認められなかった形である。
なお指定討論者のAmanda Adler氏(オックスフォード大学、英国)は、SGLT2阻害薬併用群(618例)では、GLP-1アナログ群とプラセボ群のカプランマイヤー曲線が大きくクロスしている点を指摘(試験開始6カ月後から2%近く発生率の低かったプラセボ群が、1年を経過するとGLP-1アナログ群の発生率を上回り、最終的には約3%の高値に)。その上で、この集団では比例ハザードの前提が崩れていた可能性を指摘していた。
本試験はSanofiからの資金提供を受けて実施された。また学会報告と同時に、NEJM誌Webサイトで論文も公開された。