幼児・小児期と成人期の摂食障害はDSM-5では1つのカテゴリーにまとめられ,大きな枠組みで「哺育と摂食の障害」となった。そして,「幼児期または小児期早期の哺育障害」が,「回避/制限性食物摂取障害」などに変更され,そこには様々な病態が含まれる。また,Laskら1)は摂食障害をタイプ分類して暫定基準を作成している。
わが国での乳幼児の摂食障害の全体像は,これらの分類の複数の要因にまたがり,食行動の発達や身体的・心理的状況との関与が強いものである。
その摂食障害の対象として,機能的障害がないにもかかわらず,必要な栄養量を経口摂取できないため,経管栄養を必要とするような乳幼児を考えている2)3)。ここではまず,このような乳幼児の摂食障害の存在を知ってもらえればと考える。
典型的な症例は,乳児期の何らかの基礎疾患や合併症により経口摂取が十分にできず,必要な栄養を摂取させる目的で経管栄養が開始される。その後,それらの問題が改善したにもかかわらず,長期にわたり食べない状況が継続する。
保護者はこのような状況に対して,乳汁や離乳食を頑張って食べさせようとするが,摂取量が増えず,それどころか,その努力が食物の強要につながってしまい,子どもが食事を拒否する状態になる。
無理に食べる量を増やそうとするなどの誤った対応は状況を悪化させる。基礎疾患,合併症,栄養,子育て,精神・心理などの要因を総合的に考え,乳児期から食べる楽しさと意欲を引き出すことをめざした対応が必要となる。
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