塩野義製薬は7月26日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として開発している経口投与の抗ウイルス薬(S-217622)について国内で第1相臨床試験を開始したと発表した。初回投与は7月22日に行われ、現段階で投与後の安全性上の懸念は確認されていないとしている。
臨床試験を開始したのは、塩野義が創製した3CLプロテアーゼ阻害薬。ウイルスの増殖に必須の酵素である3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の増殖を抑制する。塩野義によると、SARS-CoV-2感染動物を用いた非臨床試験で、ウイルス量を速やかかつ有意に低下させることが確認されているという。
第1相試験では、健康成人(20歳以上55歳以下の男性)を対象に服用時の体内動態、安全性、忍容性の確認を行う。
塩野義は「パンデミック終息に向けては、ワクチンだけでなく、体内のウイルス量を低下させ、重症化の抑制や臨床症状の改善が期待される抗ウイルス薬が求められている」として、低分子の経口抗ウイルス薬開発の意義を強調。国内への早期提供に向け、年内の国内大規模臨床試験開始を目指すとともに、グローバル開発の準備、生産体制の構築を進めるとしている。
「S-217622」の健康成人対象第1相試験
【目的】健康成人男性に単回投与(日本人のみ)、反復投与(日本人または白人)した時の安全性・忍容性を検討 【主要評価項目】有害事象、診察、臨床検査、バイタルサイン、12誘導心電図、ホルター心電図