代謝性アシドーシスは,血液中のHCO3-濃度の低下によって引き起こされるアシドーシスで,代償性の過換気によりpCO2が低下する。アニオンギャップ開大性と非開大性に分類され,前者は主に内因性に酸が産生されて貯留した状態,後者は主に塩基(HCO3-)の喪失か酸の排泄障害による。急性の病態に対しては入院加療が原則となるが,慢性の病態に対しては経口炭酸水素ナトリウム(重曹)投与が行われることもある。
通常,診断には血液ガス分析が必要で,鑑別には血清アニオンギャップ「Na-HCO3-Cl」を利用することが多い。しかし日本では,慣習的に血液生化学検査でHCO3を測定しないため,「Na-Cl」から酸塩基平衡の状態を予想する方法が知られている。すなわち「Na-Cl」が36以上ではHCO3が上昇したと考えて代謝性アルカローシスが,36以下ではHCO3が低下したと考えて代謝性アシドーシスが存在する可能性があると推測する。アニオンギャップの値により代謝性アシドーシスは,アニオンギャップ開大性代謝性アシドーシスと,アニオンギャップ非開大性代謝性アシドーシス(高Cl性代謝性アシドーシス)にわけることができる(表)。
なお,低アルブミン血症では,陰イオンであるアルブミンが減少するためアニオンギャップ値も低下する。したがって,以下の式での補正が必要となる。代謝性アシドーシスを呈する病態は低栄養による低アルブミン血症を併存することが多く,この補正は必須である。
補正アニオンギャップ=Na-(Cl-HCO3)+(4.0-血清アルブミン値)×2.5
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