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多職種連携の必須知識!〈作業療法士〉─多様な生活行為だからこそ多職種での支援が必要[プライマリ・ケアの理論と実践(113)]

No.5078 (2021年08月21日発行) P.12

宇田 薫 (医療法人おもと会統括リハビリテーション部訪問リハビリテーション科統括科長)

登録日: 2021-08-19

最終更新日: 2021-08-18

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SUMMARY
在宅・地域で作業療法士が多職種と連携する目的は「その人が望む生活行為」の獲得である。それは地域包括ケアシステムや介護保険制度の基本的な考え方と限りなく等しく,多職種との連携なしでは支援できない。

KEYWORD
生活行為
日常生活活動,家事,仕事,趣味,遊び,対人交流,休養など,人が営む行為を指し,いずれも我々支援者も日常生活で営んでいることである(特殊なことではない)ため,多職種での連携内容はイメージしやすい。

宇田 薫(医療法人おもと会統括リハビリテーション部訪問リハビリテーション科統括科長)

PROFILE
作業療法士。京都で急性期~地域リハを経験。現在,医療法人おもと会訪問リハビリテーション科統括科長。沖縄本島および離島支援に携わる。日本訪問リハビリテーション協会副会長,日本作業療法士協会理事,地域経営学修士。

POLICY・座右の銘
私たちが「知っている」と言えるのは,私たちが「できる」ことだけです(フローレンス・ナイチンゲール)

 

1 在宅・地域での作業療法

作業療法の対象領域は多岐にわたるため,「作業療法士は在宅で何ができるのかイメージできない」と言われるかもしれない。しかし,作業療法は,私たち自身の「生活行為」を対象としているため,実際は非常にわかりやすく,医師や介護支援専門員などからは,1事例でも連携した後は,様々な方を紹介してもらえるようになる。

日本作業療法士協会による作業療法の定義1)には「作業療法は,人々の健康と幸福を促進するために,医療,保健,福祉,教育,職業などの領域で行われる,作業に焦点を当てた治療,指導,援助である。作業とは,対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す」とあるが,その註釈を用いて紹介すると,よりわかりやすい。

「作業」とは,日常生活活動,家事,仕事,趣味,遊び,対人交流,休養など,人が営む生活行為と,それを行うのに必要な心身の活動を指す。

例:「オムツではなくトイレでの排泄」「好みの洋服を着る」(日常生活活動),「片手で料理を作る」(家事),「職場復帰」(仕事),「ゲートボールに行く」(趣味),「お絵描きをする」(遊び),「同窓会に行く」(対人交流),「安楽な姿勢で寝る」(休養)。

「対象」とは,「身体,精神,発達,高齢期の障害や,環境への不適応により,日々の作業に困難が生じている,またはそれが予測される人や集団」。

例:子どもから高齢者。地域に暮らすすべての方。疾患も限定しない。

「実践(方法)」はそれらの作業が遂行できるよう「心身機能の回復,維持,あるいは低下を予防する手段としての作業の利用と,その作業自体を練習し,できるようにしていくという目的としての作業の利用,およびこれらを達成するための環境への働きかけを含む」。

例:脳卒中により利き手に運動麻痺がある場合,麻痺の回復のために,様々な形,大きさの積み木やボールを握り,移動させる練習をする場合がある。ある程度,物の操作が可能になれば目標としている「箸」を実際に使っての練習に移ることもでき,さらに料理にも挑戦したいと希望することもある。

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