モデルナ製の新型コロナワクチンの一部に異物が混入していた問題で、同ワクチンの国内流通を担う武田薬品工業は9月1日、異物混入で使用見合わせとしたロットに関する調査結果を厚生労働省に報告、公表した。
「未使用のバイアル内に異物がある」との複数の接種会場からの報告を受け、使用見合わせとなったのは、ロット番号3004667(出荷本数約5万7000本)、3004734(約5万2000本)、3004956(約5万4000本)の3ロット。調査は、米モデルナ社と、同社の欧州における委託生産拠点であるスペインのROVI社と共同で行われた。
調査結果によると、ロット番号3004667のバイアル内から得られた粒子状物質は「ステンレススチール」と同定。ROVI社は「ワクチンの打栓を行う過程の機器に取り付けられた2つの金属部品の設置不具合による摩擦」で混入したと考えられるとしている。
医療上の安全性について武田薬品は「ステンレススチールは心臓の人工弁や関節置換、金属製の縫合糸やステープルなどの医療機器に用いられている。当該ロットで見つかった極めて小さな粒子状金属が仮に筋肉内に注入された場合でも、医療上のリスクが増大する可能性は低い」との見解を示している。
同社は、対象ロットを9月2日から自主回収するとしている。
調査結果に関する武田薬品のコメント
モデルナ社製ワクチン薬液内にステンレススチールがごく少量存在したとしても、被接種者の健康・安全に過度のリスクをもたらすことはなく、また、ワクチンのベネフィット・リスク評価に悪影響を及ぼすことはない。
注射針を通過できる大きさの粒子状金属が仮に筋肉内に注入されてしまった場合、接種された局所における反応を引き起こす可能性があるが、注射部位以外での副反応を起こす可能性は低いと考えられている。
ステンレススチールは心臓の人工弁や関節置換、金属製の縫合糸やステープルなどの医療機器に用いられている。このことから、当該ロットで見つかった極めて小さな粒子状金属が仮に筋肉内に注入された場合でも、医療上のリスクが増大する可能性は低いと考えられる。