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自家移植非適応の高齢者多発性骨髄腫の治療をどうするか?

No.5082 (2021年09月18日発行) P.46

宮本敏浩 (金沢大学医薬保健研究域医学系血液内科学 教授)

上村智彦 (原三信病院血液内科主任部長)

登録日: 2021-09-19

最終更新日: 2021-09-14

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  • 骨髄腫治療薬として,免疫調整薬〔レナリドミド(LEN),ポマリドミド(Pom),サリドマイド〕,プロテアソーム阻害薬〔ボルテゾミブ(BTZ),カルフィルゾミブ,イキサゾミブ〕,抗体製剤〔エロツズマブ,ダラツムマブ(DARA),イサツキシマブ〕,ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬(パノビノスタット)など多種類の新規治療薬が登場しましたが,依然として若年者骨髄腫はupfrontに自家移植が推奨されています。高齢者で自家移植非適応の骨髄腫患者には,どの薬剤を用いた治療選択をすべきか,ご教示をお願いします。
    原三信病院・上村智彦先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    宮本敏浩 金沢大学医薬保健研究域医学系血液内科学 教授


    【回答】

     【高齢者多発性骨髄腫の初発時はダラツムマブを含む併用療法が推奨レジメン】

    DARAが初発多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)で承認される以前は,3剤併用療法としてBLD療法〔BTZ・LEN・デキサメタゾン(DEX)〕が推奨されてきました。LD療法(LEN・DEX)とランダム比較したSWOG0777試験では無増悪生存期間(PFS)延長効果を認めましたが,有害事象による脱落が多いことが課題でした1)

    DARAは,BTZと併用するD-MPB療法(DARA・メルファラン・プレドニゾロン・BTZ),DLD療法(DARA・LEN・DEX)が選択でき,それぞれMPB療法(メルファラン・プレドニゾロン・BTZ),LD療法とのランダム比較で有意に良好なPFSが得られました2)3)。D-MPB療法,DLD療法はともに高率に完全寛解(45%,48%)および微小残存病変(MRD)陰性(28%,29%)を達成し2)~4),日本血液学会のガイドライン(2018年補訂版)でも初発MMで推奨されています。DARAは,初期の感染症には注意を要しますが,忍容性にすぐれ,特に皮下注製剤が承認されたため5),使いやすい選択肢だと思います。

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