【質問者】
髙木伸介 虎の門病院血液内科医長
【すべてのHLAアレルを同定可能であり,「見えないミスマッチ」がわかる】
従来のHLAタイピング法では,HLA遺伝子の配列のうち,「コアエクソン」と呼ばれる多型性に富んだ領域だけの情報に基づいて,当該遺伝子のアレルを推定してきました。すなわち,タイピング結果は,コアエクソンの配列が一致している複数の候補アレルの中から,集団内で存在頻度が高いものが「代表名」として報告されています。NGS-SBT法は,このような弱点を改良するため,HLA分子のアミノ酸配列を決定するすべての遺伝子領域をシークエンスすることにより,アレルをほぼ1つに絞り込むことができる画期的なタイピング法です。
たとえば,HLA-A遺伝子には,8個のエクソンがありますが,従来法では,そのうち2つか3つの配列情報に基づいてアレルを推定します。しかし,実際には,その他のエクソンにも多型が存在する場合や,一部の塩基配列の変異により,非発現アレルとなっている場合もあります(nullアレル)。たとえば,日本列島で最も多いHLA-A*24:02と判定されるアレルには,非翻訳領域における多型のため細胞表面にほとんど発現しないA:24:01:01:02Lのようなアレルも含まれています。
残り551文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する