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特集:知っておきたい成人の食物アレルギー

No.5100 (2022年01月22日発行) P.18

福冨友馬 (国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルゲン研究室長)

登録日: 2022-01-21

最終更新日: 2022-01-19

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2004年広島大学医学部医学科卒業,初期臨床研修(沖縄県立北部病院)。2006年より国立病院機構相模原病院アレルギー科,2012年より現職。

1 食物アレルギーという用語の定義
・医学用語としての「食物アレルギー」とは,食べ物による抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象を指している。
・患者は,食物を食べたあとに起こる痒み,膨疹,腹痛,下痢などの症状を指して「食物アレルギー」と呼ぶが,免疫学的機序を介していなければ,医学用語としては「食物アレルギー」とは呼ばない。
・食物へのアレルギー症状を訴えて受診する成人患者の半数以上が,IgE抗体による食物アレルギーではない。IgE抗体を介さない食物への症状を示す成人患者も多いことを忘れてはならない。

2 食物アレルギーに対する検査
・血液IgE検査には偽陽性,偽陰性が多い。
・皮膚検査のほうが血液検査に比べ体のIgE反応を正しく反映していることが多いため,食物アレルギー診断において診断的有用性が高いことが多い。しかし,皮膚検査においても偽陽性,偽陰性は存在する。
・ある食物を摂取すべきか,回避すべきかに関しての判断は,患者の臨床症状を根拠にしなければいけない。
・血液検査や皮膚検査が陽性,陰性という所見のみで,摂取を回避,もしくは,推奨することはできない。

3 知っておきたい食物アレルギー病態
(1)小麦の食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)
・成人における経口感作型食物アレルギーでは最も頻度が高いタイプ。
・小麦製品摂取後の運動により膨疹を主体とする症状をきたす場合に本疾患を疑い,ω-5グリアジンIgE抗体価の測定を行う。陽性であった場合には,当該疾患と診断してよい。

(2)花粉食物アレルギー症候群(PFAS)
・花粉アレルギーの原因アレルゲンときわめて構造が類似したアレルゲンが,果物や野菜の中にも存在する。したがって,花粉のアレルゲンで花粉症を発症した患者の一部が,同時に果物や野菜の中の花粉アレルゲン類似の食物アレルゲンにも交差反応するようになり,食物アレルギーを発症するようになることがある。
・カバノキ科花粉(ハンノキ,シラカンバ)やイネ科,キク科の花粉への血液IgE抗体価が陽性で,新鮮な果物や野菜で口腔・咽頭の症状を主体としたアレルギー症状が誘発される場合に,PFASと診断する。

(3)化粧品に関連した食物アレルギー
・化粧品の使用に関連して発症する食物アレルギーは,成人では少なくない。
・発症の原因となった化粧品の使用を中止すると,年余の経過で食物アレルギーは寛解することが多い。

(4)調理業従事者の食物アレルギー
・調理業従事者が仕事で扱う食材に対して,皮膚や粘膜を介してアレルギーになり,最終的に食物アレルギーを発症することがある。
・手湿疹の治療と就業中の手袋着用の徹底などにより,年余の経過で食物アレルギーは寛解することが多い。

4 アレルギー専門医への紹介のタイミング
・アナフィラキシーを反復するが,原因食物が不明であるとき,原因食物が多岐にわたり栄養管理も含めて長期管理が難しいときにはアレルギー専門医への紹介を積極的に検討する。
・これらの基準を満たさなくても,患者が希望する場合は,専門医への紹介を行う。

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