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アレルギー性鼻炎[私の治療]

No.5102 (2022年02月05日発行) P.46

川島佳代子 (大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター診療局長/耳鼻咽喉・頭頸部外科主任部長)

登録日: 2022-02-04

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  • アレルギー性鼻炎は発作性反復性のくしゃみ,水様性鼻漏,鼻閉を三主徴とする。耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした有病率調査の結果1)2)では,1998年は29.8%, 2008年は39.4%, 2019年は49.2%と有病率が上昇しており,特に季節性アレルギー性鼻炎である花粉症,その中でもスギ花粉症に有病率の上昇が認められている。また,2019年の結果からは,小児におけるスギ花粉症の有病率が上昇しており,低年齢化が認められている。一方,通年的に症状を呈する通年性アレルギー性鼻炎は有病率の上昇は認められていない。

    重症化することで,QOLの低下,労働生産性の低下をきたすことが知られている。さらに,気管支喘息を合併することがあり,上下気道で連携した治療を求められる。

    ▶診断のポイント

    「鼻アレルギー診療ガイドライン2020年度版」1)では,診断と治療の流れが新たに示され,症状,病歴,治療歴などの問診を行った後に,鼻腔内所見で下鼻甲介粘膜腫脹および水様性鼻漏の分泌量を確認できれば,アレルギー性鼻炎と診断できるとしている。このような所見が認められない場合,あるいは治療を行った後に十分な治療効果を得られない場合は,皮膚テストや血清特異的IgE検査などの抗原同定検査を行い確定診断とする。鑑別診断として,感染性鼻炎や抗原が同定されない血管運動性鼻炎,あるいは職業に起因する原因によって鼻炎症状をきたす職業性鼻炎などが挙げられる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    アレルギー性鼻炎は完治が難しい疾患であることから,患者と相談して治療のゴールを設定することが重要である。「鼻アレルギー診療ガイドライン2020年度版」1)で示されているゴールは,①症状はない,あるいはあってもごく軽度で,日常生活に支障のない,薬もあまり必要でない状態,②症状は持続的に安定していて,急性増悪があっても頻度は低く,遷延しない状態,③抗原誘発反応がないか,または軽度の状態,である。

    現在行われている治療法は,①抗原除去と回避に対する生活指導,②薬物療法,③アレルゲン免疫療法,④手術療法,であり,患者に治療法を十分に説明し,ニーズに合わせてどのような治療を選択するか,患者と相談しながら決定する。また,アレルギー性鼻炎は長く罹患する慢性疾患であることから,継続的な取り組みが必要であり,患者にも理解を求め治療に参加するよう促す。

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