G7保健大臣会合が11、12日に神戸市で開催され、「神戸コミュニケ」を取りまとめた。厚生労働省は、宣言に盛り込まれた「世界保健機関(WHO)及び国連人道問題調整事務所(OCHA)による分野横断的な連携を定めた、危機時の標準手順書策定の進捗」「健康で活動的な高齢化に備える保健システムの確立」で日本が主導的役割を果たしていきたいとしている。
宣言の概要は、①公衆衛生危機に対するグローバル・ヘルス・アーキテクチャー(国際保健の枠組み)の強化、②ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成と高齢化を焦点とする生涯を通じた健康の増進、③薬剤耐性(AMR)、④研究開発(R&D)とイノベーション─の4点。
①については、2014年にエボラ出血熱が流行した際にWHOの対応が遅れ、感染が拡大したことが背景にある。感染症対策はこれまでWHOに委ねられ国連機関による手順書はなかったが、日本は防災分野で知見を蓄積してきた立場から、WHO総会や伊勢志摩サミットで具体的な手順書の必要性を訴えてきた。また②について厚労省は、「今後世界的高齢化の進展が予想されることから、日本が直面している課題や具体的な施策(介護保険制度、新オレンジプランなど)について、成功・失敗を含めて学びたいという声がある」としている。
神戸コミュニケは伊勢志摩サミットで打ち出されたアジェンダやコミットメント等のフォローアップという位置付けで、G7として今後具体的なアクションを取るための指針。これを踏まえ、13~26日にはニューヨークで国連総会が開催される。