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骨髄腫に対する新規薬剤を用いた治療は,有効な限り投与を継続するべきか?

No.5104 (2022年02月19日発行) P.48

一戸辰夫 (広島大学原爆放射線医科学研究所 血液・腫瘍内科研究分野教授)

半田 寛 (群馬大学大学院医学系研究科血液内科学分野准教授)

登録日: 2022-02-21

最終更新日: 2022-02-15

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  • 数々の新規薬剤の導入により,症候性骨髄腫の治療成績は著しく改善しました。これらの薬剤を用いた臨床試験の多くでは,1つのレジメンが有効な場合,「病状の進行がみられるまで」(until progressive disease),そのレジメンを継続するデザインになっていますが,実臨床においてもこのポリシーは遵守すべきでしょうか? あるいは使用する薬剤によって,考え方に相違があるでしょうか?
    群馬大学・半田 寛先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    一戸辰夫 広島大学原爆放射線医科学研究所 血液・腫瘍内科研究分野教授


    【回答】

    【骨髄腫に対する新規薬剤を用いた治療は可能であれば疾患進行まで継続するべきである】

    多発性骨髄腫は現在の最先端医療でも根治不能であるため,治療の目的は生存期間の延長となります。現時点で,多くのエビデンスは1つのレジメンを疾患進行(progressive disease:PD)まで継続することが無増悪生存期間(PFS)を延長することを示し,メタアナリシスにおいては全生存期間(OS)の延長も示しているので,有効な治療を継続することが推奨されています。

    65歳未満の多発性骨髄腫に対して推奨されている自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法(メルファラン療法)後に,PDまで行う少量レナリドミド維持療法とイキサゾミブ維持療法は,それぞれ無維持療法群と比較してPFSの延長,少量レナリドミド維持療法ではメタアナリシスでOS延長も示されたことから,推奨されています。

    65歳以上の多発性骨髄腫には,抗体CD38抗体ダラツムマブ(D)に,メルファラン+プレドニゾロン+ボルテゾミブ(MPB)を組み合わせたD-MPB療法,レナリドミド+デキサメタゾン(Ld)を組み合わせたDLd療法が推奨されています。D-MPB療法では,D-MPBを9サイクル後に行うD単独の継続治療が,MPB療法9サイクルのみと比較してPFSのみならずOSの延長も示し,DLd継続療法はLd継続療法と比較してPFSを延長することが示されています。ただし,Ld継続療法はLd療法18サイクル(約1年半)と比較してPFSは延長したものの,OSは同等であったことは明記するべきです。

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