【質問者】
一戸辰夫 広島大学原爆放射線医科学研究所 血液・腫瘍内科研究分野教授
【骨髄腫に対する新規薬剤を用いた治療は可能であれば疾患進行まで継続するべきである】
多発性骨髄腫は現在の最先端医療でも根治不能であるため,治療の目的は生存期間の延長となります。現時点で,多くのエビデンスは1つのレジメンを疾患進行(progressive disease:PD)まで継続することが無増悪生存期間(PFS)を延長することを示し,メタアナリシスにおいては全生存期間(OS)の延長も示しているので,有効な治療を継続することが推奨されています。
65歳未満の多発性骨髄腫に対して推奨されている自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法(メルファラン療法)後に,PDまで行う少量レナリドミド維持療法とイキサゾミブ維持療法は,それぞれ無維持療法群と比較してPFSの延長,少量レナリドミド維持療法ではメタアナリシスでOS延長も示されたことから,推奨されています。
65歳以上の多発性骨髄腫には,抗体CD38抗体ダラツムマブ(D)に,メルファラン+プレドニゾロン+ボルテゾミブ(MPB)を組み合わせたD-MPB療法,レナリドミド+デキサメタゾン(Ld)を組み合わせたDLd療法が推奨されています。D-MPB療法では,D-MPBを9サイクル後に行うD単独の継続治療が,MPB療法9サイクルのみと比較してPFSのみならずOSの延長も示し,DLd継続療法はLd継続療法と比較してPFSを延長することが示されています。ただし,Ld継続療法はLd療法18サイクル(約1年半)と比較してPFSは延長したものの,OSは同等であったことは明記するべきです。
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